『契約』恋愛
side:/ YUKINO
放課後、私しかいない教室。
切ないオレンジ色が、世界を染める。
窓を開けてみれば、部活中なのであろう運動部の声が時折聞こえ、少しだけ冷たい風が私の髪を揺らした。
もうすぐ、夏も終わる。
そろそろ屋上でサボったり、昼を食べたりするには寒い時期だな、なんて、移ろう季節にちょっと想いを馳せてみたりして。
まぁ、でも。
この夏の終わりとともに
私たちの『契約』も終わる。
そうすれば風春と屋上で過ごしたり、昼を食べたりすることもなくなるから別にいいんだけど。
『契約』の終わりを考えると、ある程度覚悟していたはずだったのにやっぱり虚しい。
刻一刻と迫るリミットが思ったよりダメージが大きくて。
少しでも油断したら、せっかく蓋を閉めて押さえ込もうとしている気持ちが今にも溢れ出しそうで、怖い。