『契約』恋愛
窓際の自分の席に座り、ぼんやりと空を見上げながら頬杖をつく。
ゆっくりと流れる雲が、なんだかとても儚く見えた。
しばらくそのままでいると、廊下から聞こえる足音。バタバタと走って近づいてくるその音に、待っていた人物を思い浮かべて思わず苦笑した。
ガララと、勢いよく開けられたドアに私は視線を移す。もちろんそこには、予想を裏切らない人物がいて。
「雪乃ごめーん!待たせちゃったね。」
額にじんわりと汗をにじませて肩で呼吸している凛は、そう言って私の横の席に腰掛ける。
「ホントは佐山君と帰る予定だったんでしょ?急に呼び出してごめんね。」
「…全くよ。」
残りわずかな一緒にいれる時間、
ほんの少しでも一緒にいたいと思うのは
ただのわがままなんだろうけど。