『契約』恋愛
私に向けられる、他の生徒たちの訝しげな視線。それを気にすることなく、校門を抜ける。
ただひたすらに走る中、思い出すのは自らが放った、言葉の数々…
あんなこと、言うつもりはなかった
風春を、傷つける気なんてなかった
ホントは風春に、好きだって言われて嬉しかったのに。
一緒にいたいと思ったのに。
私はただ、自分のエゴで最愛の人を傷つけたのだ。
好き故に、これ以上風春を傷つけたくなくて。
幸せになってほしいが為に、風春には私を嫌ってほしかった。
“これからも、ずっと”
風春は私に、そう言った。
なのに、私には未来が見えない。
私といても幸せは約束されない。
風春が望む未来を、
私には与えることも、共に歩むことも、
できないのだから。