『契約』恋愛
息が上がり、額から流れる汗…。
無意識のうちにたどり着いたのは、紛れもない自分の家。
ドンッと大きな音を立ててドアを開け、二階にある部屋に走り出す。
「雪乃? 学校はどうしたの?」
台所にいるのであろうお母さんの問いかけも無視して、部屋のドアを閉めた。そして、部屋のドアにもたれ掛かりながら、崩れるように座りこむ。
乱れた呼吸は、落ち着く様子もなくて。
流れる汗が、汗で湿ったブラウスが、どうも気持ち悪い。
「雪乃?」
ドア越しに聞こえる、お母さんの声。
心配そうに顔を歪めるお母さんの表情が容易に想像できたけど、答えられないよ。
「ゴメン、お母さん。学校、サボっちゃった。」
そう答えるのが、今の精一杯。