『契約』恋愛
自分が今言葉を発することで
風春に向けた残酷な言葉を思い出す…
“好き”だと言ってくれた風春に
私が返した“大嫌い”
自分を偽り、真逆のことを言ったせいで、
眉をハの字に下げた風春の表情が脳裏に焼き付いて離れない。
「サボっちゃったって…
具合、悪いの?」
「そんなこと、ないよ。」
一番傷つけたくない人を
紛れもない私の言葉が傷つけた。
一番そばにいてほしい人を
紛れもない私の言葉が突き放した。
『契約』なんかしなければ
風春は傷つかなかったのに。
私なんかがいなければ
誰も傷つかなかったのに――…
ズキンと、頭が痛む。