『契約』恋愛
「…佐山君、ちょっと話があるんだけど。…いい?」
HRが終わり、人もまばらになった教室。
俺もそろそろ帰ろうかと、窓際の空席に視線を向けてから立ち上がれば、後ろからかけられた声。
振り向くと、そこにいたのは真剣かつ切なげな表情を浮かべる中沢の姿で。
いつもの様子とはかけ離れた姿に、ダメだと言えるわけがない。
「…別にいいけど。」
「ありがとう。」
再び自席に腰を下ろした俺を見て、中沢も軽く微笑んで近くの席に腰を下ろす。
オレンジが差し込む教室、俺達は無言のまま、他のクラスメートが教室から出ていくのを待った。
――そして。
「あのさ…」
沈黙を破り、口を開いたのは中沢。