『契約』恋愛
重苦しい雰囲気が、体中にまとわりつく。
「雪乃のこと、もうどうでもいいの?」
ゆっくりと紡がれた言葉。
そして、おそらく俺に向けられているのであろう中沢の視線。それを確かめることなく、俺は前の一点だけをひたすら見つめて。
ただ問いかけられることに、耳を傾ける。
「3日も学校休んでるのに、気にもならないの?」
…――気にならないわけがねぇ。
「佐山君は雪乃を好きだったわけじゃないの?」
…――好き、だったんだよ。
「やっぱり雪乃のことも遊びだったの?」
…――遊びじゃねぇから、こんな思いしてんだろ。
「…何で、別れちゃったのよ!」
…――そんなの、雪乃に聞けよ。
俺だって別れたくなんてなかったのに。