『契約』恋愛

「何にも気付いてやれなくて、独りで散々背負わせて、今更かもしんねーけど。」


頬を伝う涙とともに、再び包まれた温もり。あたたかくて、私が一番望んでいたもので。


「俺にも雪乃の闇を背負わせて。」


そう耳元でささやかれた言葉に、涙を止めることなんてできなかった。

今の私を受け入れてくれる、
これからもずっとそばにいてくれる、
その気持ちを直に感じることができたから。

もう私はこれ以上、風春にも自分にも、嘘なんてつきたくないよ。

だって私は、知ってしまった、気付いてしまった。
こんなにも近くに、あたたかさと優しさがあることを。

まだ私を想ってくれる、最愛の人がいることを――…
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