『契約』恋愛
戸惑う私に、風春は続けた。
「お前、考えすぎだから。生きて過ごす時間に、無駄なんてねーんだよ。それに、いつ死ぬかわからないなんて、みんな同じじゃねーか。」
そしてゆっくりと離れた体。
再びぶつかった視線に、こぼれそうになる涙に、強く唇を噛みしめる。
「だからさ…。俺は雪乃に何て言われても、どれだけ嫌われても、雪乃のそばにいるから。」
そう言って、気まずそうに目線を逸らした風春の顔は珍しく真っ赤で。
私が自分の中で決意を固めていたように、風春も決意を固めていたんだね。
“私のそばにいる”
それが、風春が決めたこと…
でもそれで…
「それで風春は、後悔しないの?」
私は風春の、笑顔を失いたくない。
それを奪う権利は、私にはない。