『契約』恋愛

いたずらに笑う風春に、こみ上げる愛しさ。何を考える間もなく、私は思わず抱きついて。優しく抱きしめ返してくれる風春に、涙はあふれ出す。

すると、涙とともに、再び押し込めようとしていた想いが堰を切ったように溢れ出した。

一ヶ月前、誰がこんな未来を予想した?
所詮『契約』、恋愛ゲーム。
お互いにとって、ただの遊びだったのに。

こんなにも本気で好きになるなんて…
愛しくてたまらなくなるなんて…


「ごめん、風春…。傷つけて、ごめん。
だけどこれからも、私のそばにいて?」

「りょーかい。」


…――そばにいて。
これがきっと、私の最期のわがまま。

そして刻々と迫る命のリミットに、私はまた恐怖を抱いてしまった。

“私はまだ、死にたくない”
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