『契約』恋愛

「…知ってる?って聞かれても…何を?」


いきなりそれを問われたって答えようがねーっての。訝しげに問いかけ返した俺に、雪乃はまた視線を窓の外に投げた。


「あのね、学校の裏にある公園…。もう少ししたら、紅葉がスッゴく綺麗なんだって。」

「へぇ…。ってか、学校裏に公園なんてあったっけ?」


学校裏の公園…
そんなの、俺の記憶の中にはない。

俺の問いかけに雪乃は、勢いよくこっちに振り返ったかと思うと、明らかに呆れた表情を浮かべた。


「あったから。ってか屋上からも見えるし…。」

「そんなん見ねーし。」

「あっそ。」


俺の答えに、雪乃はつまらなそうに視線を落とす。でも仕方ねぇだろ。屋上に行くときは、寝てるか話してるかのどっちかだったんだから。
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