『契約』恋愛
それなら今、俺が雪乃にできるのは…
「俺が…、俺が先生に頼むよ。
一日…いや、数時間でいいから外出を許可してくれって。だから…」
俺の言葉を続けるように、そっと雪乃が口を開く。
「一緒に見に行こうか、紅葉。」
何の気なしに紡がれた言葉。にこっとした笑顔に、何だか心が温まる感じがして。
「風春がそこまで言ってくれるなら、一緒に行こう?
…――約束だよ。」
すっと差し出された左の小指に、俺も自分の小指を絡める。
「あぁ、約束だ。」
俺の言葉に、雪乃は嬉しそうに微笑んでくれて。
「ホントに、行けたらいいな…」と小さく呟やかれた声に、この約束だけは絶対に果たさなければいけない、そう心に誓った。