『契約』恋愛

雪乃を喜ばせたい

たくさん笑顔が見たい

哀しませたくない

無理に笑わせたくない

だから今、俺は自分ができる最大限を雪乃に捧げるよ。
隣に雪乃がいる、その事実が俺のすべてで、絶対だから。


「じゃ、そろそろ帰るわ。
…紅葉、楽しみにしてろよ。」

「ちゃっかり初デートみたいなもんだし、期待してますー。
気をつけて帰ってね。」

「おう。んじゃ。」


“初デート”…
確かにそうだった。言われてみれば今まで、雪乃と2人でデートなんてしたことなかったな。

雪乃の口から漏らされた新事実に少し口角を上げながら、俺はゆっくりと病室をあとにした。
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