『契約』恋愛
「お願い?…何だい?」
不思議そうに私に尋ねる先生の目を見つめ、私は小さく息を吐いた。
そしてゴクリとつばを飲み込み、再び口を開く。
「私に、外出許可をください。」
しーんと静まり返る診察室。
信じられないとでも言いたそうな先生の瞳だけが、私を捉える。
でも、そんな一時の沈黙を破ったのは、やっぱり先生だった。
「…キミといい、あの子といい、ふざけているのか?キミ自身、自分の体のことはよくわかっているはずだ。」
その通り、わかってる。
でも、ふざけてなんかない。いたって真面目に、本気で話をしているの。
「先生…。だからこそ、だよ。自分のことをわかってるからこそ、私の好きにさせてほしいんです。」
最期まで私を、自由にさせて。