『契約』恋愛
ここ数日、毎日頼み込んでるっつーのに、あの初老の医師は一向に了承なんてしてくれなくて。
“お前はあの子を死なす気か”
その言葉が耳に焼け付いて離れない。
確かに言ってることも、やってることも、あの医者が正しいんだってことくらいわかってるけど。
それでも諦められないのはやっぱり、雪乃の“約束だよ”っていう言葉があるから。
雪乃が行きたいなら行かせてやりたい。
雪乃と約束したんだから果たしたい。
そんな風に思う俺は、誰よりも単純なのかもしれない。
そんなことを考えながらも、いつものような服装に着替え、ありもので軽く朝食を済ませる。
部屋にいる時間なんてもったいねーし。
ジャケットを羽織り、玄関に足を向けたとき、玄関のチャイムが部屋に響いた。