『契約』恋愛
「…誰だ?」
ぽつりとそんな疑問が口をついて出る。
それもそのはず、俺の家を訪ねてくる奴なんてそう滅多にいない。
ましてや日曜のこんな時間帯になんて――…
訝しげに、ゆっくりと開けるドア。
隙間から差し込む日差しに目を細めながらも訪問者を認識すれば、声にならない衝撃が俺を襲った。
「おっはよー!ビックリしたでしょー?」
そう言って無邪気に笑っているのは、まぎれもなく雪乃。
ビックリしたも何も、何でここにいるのか、何で俺の家を訪ねてきたのか、全く思考が追いつかない。
「ほら、いつまでそんな顔してんの?時間もったいないよ。さっさと行こう!」
困惑する俺をよそに、ぎゅっと握られた左手。これは夢なのか現実なのか、なんて、マンガみたいなことを思いながらも、俺の手を引く雪乃を止めた。