『契約』恋愛
それを確認してから、ポケットに手を入れ目的のものを取り出す。
太陽の光を浴びたそれの中心は、店内のときよりも不思議な光を放っていて。そこに存在を知らしめるかのごとく、まばゆい銀が光を反射した。
そしてそっと、雪乃の左手の薬指に通す。細く白い指に、それは驚くほど似合っていた。
「目、開けていいよ。」
ゆっくりと開かれた瞳が、自らの指につけられたリングを捉えた瞬間、その瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちて。
「か、ざは、る…。これ…」
「俺たちの“道しるべ”だよ。
何にもできねー俺からの、雪乃へのプレゼント。」
ポケットから、雪乃の指で煌めくものの片割れを取り出して笑えば、よりいっそう流れ出す涙。
ぬれた頬に触れて涙を拭ってやれば、雪乃は俺の手からまだつけられていない俺のリングを手に取り、自分と同じようにして指に通してくれた。