『契約』恋愛
雪乃のしたいように、
やりたいように―――……
「…わかった。」
パタンと、開いていた携帯を閉じる。
そして未だうずくまる雪乃に、屈んだまま背を向けた。
「わかったけど、予定変更。
だからとりあえず、俺に乗って。」
そんな状況で、歩けるわけもないし、歩かせるわけにもいかない。
「…大丈夫。病院に連れ戻したりなんかしねーよ。」
「……うん。」
俺の言葉に安心したのか、ゆっくりとかかる体重。そのあまりの軽さに、ギリっと奥歯をかみしめた。
治まってきたのかどうかも定かではない呼吸音を聞きながら、ゆっくりと歩を進める。
時折受ける視線をウザいとは感じながら、あまり気にはならなかった。