『契約』恋愛
「……何、んなシケた面してんだよ。
せっかく俺が珍しく料理したんだぜ?冷める前に食うぞ。食えるよな?ってか食え。」
不意にポンと頭に乗せられた手と、降ってきた命令まがいな風春の言葉。
これが、風春の優しさ。
私が何を考えてるか、なんて、絶対気づいてるはずなのにね。
「シケてないよ。食えるよ、食うよ。」
「ガラじゃないから“食う”とか言うな。」
「はいはい、食べます。これでいいですかー?」
「おー。」
でもね、風春…。
きっと、私の本当の思いも、考えも、誰にもわからないと思うの。
それなのに、いつも通りにすることが、こんなにツラいだなんて思わなかったよ。