『契約』恋愛
わずかに漏れる、外からの光。
そこに掲げる、指輪が光る左手…。
こんな道先案内、させたくなかったな。そんな風に思い、自嘲的な笑みがこぼれた。
そして。
ゆっくりと指輪をはずし、静かにテーブルの上に置く。
これは、今の私が受け取っていいものではないと思ったから。
「これは返すよ、風春。
私が、受け取ってはいけない。」
そうつぶやいて、起こさないように優しく、風春の頬に触れる。
そしてそっと、その唇にキスを落とした。
「…キスから始まったんだよ。
だから、キスで終わらせよう。」
それは私のエゴだけど。
きっとそれで、間違ってなんかない。
不思議と強く、そう感じた。