『契約』恋愛
向かう途中で四時間目の始まりのチャイムが鳴ったけど、とりあえず気にしないことにした。先生にだけは見つからないようにして進み、ようやくついた屋上。
屋上につながるドアを開けた瞬間吹き付ける風、降り注ぐ光……。深呼吸すると、先ほどとは違う、清々しい空気が体内に流れ込んでくる。
私には強い直射日光は体に障るので、程良くできていた給水タンクの影に腰を下ろした。タンクに背中を預け、ゆっくりと目を閉じる。
再び眠りに落ちかけたとき、耳に届いたドアの音で現実に引き戻されて。
「おーっと、めずらし。 ここにもサボリ者発見。 先生に言ってやろ〜。」
ハッとして向けた視線の先には佐山君。
ニコニコの笑顔とともに、そんな言葉を私にぶつけてきた。