『契約』恋愛
「へぇ。どうしてそう思うわけ?」
断固として言い切った私に、少し不思議そうな表情を向ける佐山君。そんな彼に、私はふっとほほえんだ。
「もし今が“永遠”だとしたら、人の中に『思い出』なんて概念、存在しないでしょ。」
「まぁ、それはな…。」
うーんと唸りながら納得しようとしている佐山君に、私は「それに。」とつけ加えた。
「“永遠”に続く“今”なんて、おもしろくないと思わない?」
一瞬の間の後、佐山君からあふれ出した笑い声。透き通った空に、彼の笑い声がよく響く。