『契約』恋愛
でも、確かにそうだ。
もとから自由な人が、自由なんて望まない。望む必要が、無い。
私が自由でありたいと願うのは、佐山君が言った通り束縛するものから解き放たれたいから。
そして、私を束縛するもの。
それは、私の抱える“最大の嘘”と“命のリミット”、それ以外にないじゃないか。
「何か悩んでんなら、一人で悩むなよ。 相談くらいならいくらでものるぜ?」
私の暗くなった表情を心配したのか、佐山君が私の顔をのぞき込みながらそう言ってくれる。 でも。
「なーんにも悩んでないし、何にも束縛なんてされてないよ。 私はただ、私らしく楽しんで生きたいだけ。」
そのことは隠し通すって、昔から決めてるから。