僕と幽霊タムラ
出会い
「今日も何も無く、1日が終わりそうだ。」

学校が終わってから、放課後教室からみんなが帰るのを確認すると、屋上に上がり何をするのでは無く、遠くを眺め色々なことを考えている。

ここに居ると心が落ち着いてくる、いや、反対に暗くなる時もある。

ただ、帰っても何もやることは無く、放課後に何回か屋上で夕空を眺めているうちに、習慣になってしまったのかもしれない。

ここの屋上の周りには視線を遮る建物など無く、綺麗に遠くの街並みが見え、夕方くらいになると、家々が電気をつけ始め薄暗くなるにつれて、星のように見える。

「この先、未来はどうなるんだろう。」

ふと、頭の中でその言葉が出てくる。

屋上は人が落ちないようにフェンスがしてあり、その上に組んでた腕の上にあごを置きため息をつき、その問いを考えてみる。

大抵、出てくる考えはネガティブなことばかりで、気分を滅入らせた。

放課後の屋上に来るとそんなことばかり考えている、それなのに放課後ここに向かうということは、考えることが嫌いではないのだろう。

あごを置いていたフェンスから、目線を下に落すと硬いコンクリートが視界に入った。

もし、飛んだらどうなるんだろう?
死んで何か世界は変わるのだろうか?
自分が死んで誰が悲しむかな?
死んだら、何も考えなくて済むのかな?

頭がぼーっとし、無意識にそんなことが頭の中で巡った。

頭の中の自分より、自分は弱く死ぬと言うことに、臆病で言葉に出すのさえ怖かった。

だんだん怖くなり、意識を急いで現実に戻して目線を元の街並みに戻した。

「最近、多いなー。」

どこかで男の声が聞こえた。

また、無意識の自分が慌てて振り返り屋上を見回すが、辺りは夕暮れではっきりと確認できない。


目を大きく見開いて、屋上の隅々を見てみるが誰も見当たらない。


「気のせいかな?」


寒さとは別に違う寒さが背筋をゾクッとさせた、多分どこかの教室で誰かが大声をあげたんだろうと思うことにしたが、声の感じからそんな遠くではないことはわかっていたが、、。


しかし、その声で反対側に振り返ったことで反対の空は夕日が沈むオレンジの星が輝いていて、その怖さを和らげた。









< 1 / 26 >

この作品をシェア

pagetop