僕と幽霊タムラ
「そうか、なんとなーくわかったぞ。」


タムラはちょっと複雑な表情だ。


「なんなんですか、その未練というのは?」


僕はまじまじとタムラの顔を見た。


「それは、、。」


ボーっと僕の方を見て、少しの沈黙が流れた。


「自分の貯金のお金を全部使わなかったことかぁー!」


明らかに嘘をついているように、急にいつもの笑顔になった。


「それより、ここから道路が見えるだろう?」


タムラは校舎から百メートルくらい、離れている通りを指を指している。


いつも、僕が帰るときは通らない道で、車が二台通るのがいっぱいくらいの道で、おまけに住宅が視界を邪魔をして見通しの悪い道だ。


「はい、それがなにか?」


「あそこで、俺死んだんだよね、、。」


僕は一瞬言葉を返すのに困った。


「何が、原因で死んだんですか?」


「見ての通り、あそこの道は見通しが悪いだろう?あそこを考え事をしてて、一時停止を忘れて通ったら、車に跳ねられてね、、。」


タムラは悔やんでいるのか、元気の無い声で言った。


「あぁー!大人の事情であの時ムシャクシャしてたからなー!!悔やんでも仕方ないか!」


この重苦しい雰囲気を変えたいのか、笑顔で言った。


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