僕と幽霊タムラ
「そうだよね、幽霊なんて、、。」

相手から返事が返ってきたので、安心し強ばっていた体が緊張から解かれた。
なんだ、先生かな、、。声からして生徒の声と考えられるのは難しかった。


「いやいや、久々人と話すなー。」


男は嬉しそうな声を出し、こちらの方へ近付いてきた。


僕は驚いてしまった。


出てきた男は学校で見たことのない男で、歳は20代後半くらいで、中肉中背で歳のわりに童顔な顔立ちの人だ。


「なにかここに用ですか?」


はっきり姿が見え、幽霊じゃないと確信しホッとしたのはつかの間、今度はこの男が何者なのか不安が出てきた。


誰だ、この人、、。変質者、、。


今度はサスペンス映画が頭を過ぎった。


また、手のひらに汗が出てきた。


下手したら幽霊のほうがマシかもとも思えてきた。


「いやー、ここの夜景がきれいだからさ。」


男はニヤッと笑い、こっちを見て答えた。その笑顔が反対に怖く感じられた。


「こ、ここは学校ですよ、、夜景ならほ、ほかで見てください。」


変に刺激したら何をされるのかわからないと思い、落ち着きながら冷静に言ったが声は震えていた。


「まぁー、いいじゃん。」


男は怪しく思われないようにしているのか、またも笑顔で言った。


「いやいや、良くないですよ、、。」


こういう怪しくない人に限っていきなり何をするか、わからないという話を聞いたことを思い出し、もし、男が襲ってきたらどうするかを考えていた。
ナイフで襲ってきたら、交わして膝蹴りと、、。・

「そんなことより、少年はなぜここに?」

僕はビクッとした。
男はこれ以上聞かれまいと思ったのか話を変えた。


「僕も夜景を見に来たんですよ、学校の屋上から見る夜景が好きで。」


本当のことなのに何故か嘘を言った気分だ、男と同じだったので、いかにも嘘をとっさについたような答えのようだ、それに本当は夜景を見たいだけだったのだろうか。


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