僕と幽霊タムラ
「はい?なんでしょう?」


ほっとしたのもつかの間、無視して帰ればよかったと、返事をして思った。
やばい何かされるのではないかと、恐る恐る男の方へと振り向いた。


「君の名前はなんていうんだい?」


男は相変わらず笑顔だ。
男の笑顔を見て顔がホッとゆるんだが、再び気を引き締めた。


「なんでですか?」


名前を聞いてどうするんだろうと、名前を使って何かするんじゃないだろうかとか、色々なマイナスな想像を働かせた。


「いやー。長い付き合いになるかもなーと。話し相手ほしいしさ。」


男はちょっと照れながらモジモジしている。


「いやー、、。」


今度は男があまりにも照れていたので、僕は苦笑いをし顔が固まった。


もしやこの人、、少年好き、、。


「んな教えてよ、ただ名前が知りたいんだよ。」


男はしつこく聞いてきたので、体から変な汗をかき今度は体が固まった。


「なんだい?わかった名前が変なんやろー?」


今度はわけのわからないことをいい、笑いを誘っているのか男は自分の言ったことにニャッとした。


少し僕は気を使い、男に笑顔を見せたが自分でもわかるほど顔は引きつっていた。


「本当は外人とか?」


僕の笑顔を見て、男は調子に乗ってきたのか名前を聞こうと、あれこれ言っている。


「僕、帰ります!!」


男のしつこさに少し怒った口調になった。


「なんだよ、ケチ教えてよ。」


今度はジリジリとこっちに寄ってきた、その笑顔で寄って来られると恐怖だ。
どうしょう怖い、、。


僕は男が近付くにつれて後ずさりをした。


握った手のひらにはものすごい汗をかいていた、、。


「あの!」


これ以上寄って来られると逃げ場がなくなってしまうと思い、この状況を変えるために大きな声をあげた。


「どうした?少年トイレか?腹痛いのか?」


男は急に少年が大声をあげたので心配そうだ。


僕はどうしようか目が泳いでいた。


「いきなりですが、好きなタイプってどんなです?」


なぜかとっさに出た言葉がそれだった。





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