僕と幽霊タムラ
「なんだよー。ハヤチャンでいいんだよー、恥ずかしがらないでいいのに。」


タムラは僕の声が聞こえないのか、話を続けた。


「それでは、タムラさんごきげんよう、、。」


この人を相手にしたら帰れないと思い、タムラの言葉を無視し階段を下りて行った。


タムラは残念なそうな顔をしたが、結局はすぐ笑っていた。


タムラと別れ、僕は3階へ続く階段を降りた。


屋上と3階を繋いでいる階段は電気が無く、3階の廊下からの電気でやっと足元が見えるくらいだ。


もぅ、いつもならもう少しは早く帰るのに、、。


あの人と結構長く話しをしてしまったなと、特にこのあと何をするというわけでもないが、時間を無駄にしたと後悔をした。


いつもより帰りが遅いせいなのか、いつもより学校の中は静かなような気がした。


なんだか自分だけがこの世界に取り残されたようだった、いや、自分だけが違う世界に行ったような、、それはそれで楽しそうだと思った。


3階から2階へ、2階から玄関のある1階へに着いた。


今日はいつもより疲れていたのか、廊下から反射する光が眩く感じ頭をボーッとさせた。
その光の道を頼りに玄関へと向かった、辺りには誰も居ず静かで風の音が窓の隙間からビュービューと鳴いている。

玄関についた、げた箱は整然と並べてあり、辺りには下駄箱とかさ立てぐらいしか見当たらない。


辺りがあまりにも静かで、昼間は生徒の声で騒がしいのに、殺風景な空間はあまりにも不気味に感じられた。




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