もし、魔法が使えたら。
「目を開けたまえ。」
「・・・・・・・え・・・・。」
目を開けて部屋を見渡してみたが、周りに何も変わった所はない。
「鏡を見てごらん。」
鏡・・・・・・?
俺は部屋の隅に鏡を見つけその前に立った。
「・・・・・・・・すげえ・・。」
さっきまでダッサいTシャツだった俺が、まるで英国紳士のようなタキシード姿になっていた。
ボサボサだった髪はピシッとオールバックに、伸びきってた無精髭は綺麗さっぱりなくなっていた。
「これでも信じられんかね?」
「・・・・・わかったよ。信じる。」
これが、俺と魔法使いのおっさんとの出会いだった。