もし、魔法が使えたら。


俺は足を止めた。

いや、正確に言うと止まった。


いつもと変わらない風景。

俺に買われるのを今か今かと待つ自販機。


…の上に緑のおっさんがいる。




あー最近暑くなってきたからな。

って、そういう問題じゃねーだろ。


変質者か…?

まさか飛び降り!?

いや高さが足りなすぎるわ!!

って、そーじゃなくて…


つーかなんであいつ髪の毛緑なんだ。

ラ○ちゃんのファンなのか…?

もーダーリン!!
○ム怒るっちゃ!!


って、おい!!


いや、しかし…


「なんだ…あいつ。」

俺は思わず声に出してしまった。




おっさんがこっち見た。

そりゃもう、ガン見だ。


怖え。

よし、目をそらそう。

そして家へ帰ろう。

うん、それがいい。


俺が目をそらそうしたその瞬間、


「君、私が見えるのかね?」


まずった。

このおっさんガチで「やばい人(変質者)」だ。
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