My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
私は、まっすぐ桂木所長を見つめて話を切りだした。
「―――あの、私恋愛とかしないのでほかをあたってくださいね」
この人、最初に釘を差さなきゃどんな暴走をするかわかんない!
本能が危険を察知したのか、上司である人なのにも関わらずはっきりと言ってしまった。
―――その次の瞬間、桂木所長は寂しそうな視線をこちらに向けた。
「…理由を聞きたいって言ったら?」
そう言ってくるのはなんとなく予想ができた。
でも、言えない。
口に出したくない。
もう思い出したくない。
「理由なんてありませんよ。恋愛、苦手なんで」
私はそう言うとそっぽを向いて荷物の片づけに精を出した。
桂木所長は、そんな私に声をかけてこなかった。