My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
“気をつけなよ”
麻里奈の言葉が脳裏をよぎったが、時すでに遅し。
私は数人の女子社員に引っ張られ、総務課の倉庫に連れて行かれた。
「荷物なんて嘘よ。あなたを呼び出す口実に…ね」
耳元でそうささやく声がする。
私は囲まれてしまい、リーダー格の女性に睨みつけられた。
どう見てもこんなことしなそうな感じの人なのに。
「あなた、例の長澤くんの子よね?」
―――長澤。
まさかまたその名前を聞くことになるなんて。
「長澤くんも桂木所長も、なんでこんな子をかまうのかしら」
聞きたくない名前を聞かされて、一方的に責められて。
私の中ではいらいらが高まって限界だった。
「私はなにも悪くない!勝手に言いがかりをつけないでください!」
そう言うと、彼女たちの表情がみるみる変わる。
ま、まずい…かも。
「―――生意気ね!ただじゃおかないわよ!」
ヒステリックな叫びとともに、リーダー格の腕が上がる。
―――やられる!