My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
「だったら!私がこんな目に遭うってわかってたんなら、なぜわざわざ秘書にしたんですか!?」
早百合はそう声を荒らげた。
早百合の怒りもごもっともだ。
――それでも、俺は早百合を近くに置きたかったんだ。
そばにいたいんだ。
守りたいんだ。
「ごめんね。早百合ちゃん…」
きっと今、俺の気持ちを打ち明けても、今の早百合には届かない。
「早百合ちゃんが俺をどう思おうともかまわない。それでも、俺は早百合ちゃんを守るから。だから…」
だとしても。
そばに、いてよ。
しばらくすると、早百合がかすかな声でつぶやく。
「だったら、しっかりお願いします」
俺は返事をする代わりに彼女の手を握った。
その手は、まだかすかに震えていた。