My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
【光と影】
――なんてことを言ってしまったんだろう。
仮にも、上司なのに。
桂木所長に手を握られたまま、私は顔が熱くなっていくのを感じた。
でも、所長の手は優しかった。
それから、半ば強引に紫さんの運転する車で家まで送ってもらい、ベッドに倒れ込んだ。
なんか嫌なことがあったのは確かなのに、桂木所長の言葉が頭の中を巡って離れない。
変わり者だけど、悪い人じゃない。
むしろ、あいつなんかより―――
『あいつ』だなんて、久しぶりに思い出してしまった。
もう忘れられたかと思ってたけど。
それでも、気分が憂鬱にならないのは、桂木所長のおかげかな。
安心したからか、私はいつの間にかうたた寝をして、気づいたら翌朝だった。