My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
パーティーを終え、今日は紫さんは先に帰ってしまったので二人でタクシーに乗り込む。
桂木所長はいつもの表情に戻り、窓の外を眺めている。
「…なんか意外でした。桂木所長ってあんな表情もするんですね?」
思わず今日の感想を本人に言ってしまった。
「世の中信用できる人間の方が少ないからね。少なくとも仕事がらみの人間は」
ため息をつくように、そう言いきる。
「じゃあなんで私や紫さんにはそういう顔しないんですか?」
「…紫は幼なじみだからね。だから安心できる。早百合ちゃんは…」
そこまで言うと、私の目をじっと見つめる桂木所長。
目が逸らせない。
「愛しているから、かな。だからだよ」
真剣な、言葉。
私の心臓がうるさくなっていく。
言い終わると同時にまた窓のほうに顔を向ける。
私の家に着くまで、再び言葉を交わすことはなかった。