My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
―――あっという間にまた一週間が始まる。
週末を挟み、私は金曜の出来事などすっかり忘れていた。
いつも通りパソコンに向かい、淡々と仕事を進めている。
向かいの席では、週末の合コンで好みの男性に出会えたらしい麻奈美がにやにやしている。
ご機嫌そうに私に手を振る麻奈美を見て苦笑していたときだった。
「新城さん!ちょっと…」
気づくと、焦った表情で私の横に立つ課長の姿があった。
…私?
課長を見上げ、口を開こうとした瞬間だった。
「新城早百合ちゃん、見ぃつけた」
フロアの入口からそう聞こえた。
フロア中に響く低い声。声を発した主の右手には、見覚えのあるハンカチがひらひらしている。
金曜の!
なんでここに!?
名刺を渡してしまったのがまずかったかな…
それにしても、ここまでどうやって入ってきたの?
セキュリティー万全だからこっそりなんて無理なんだし…
そう考え込んでいると、課長は焦ったように口を開いた。
「桂木所長!この新城がなにか失礼なことでも…?」
桂木、所長?
その名前が出たとたん、周りは皆ざわめき出す。