My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜



「一人だよ〜。両親いないからね」

桂木所長から返された返事を聞いて、私の思考が止まった。

……今さらっと大事なことを言ったような気がするんだけど。

しかし、桂木所長は今日のニュースでも話すかのように続ける。

「俺ねぇ、生まれてすぐに公園のベンチに捨てられてたんだって。誕生日二月だからさ、一歩間違えたら死んでたよ。んで、そういう施設で育ったの。だから、親の顔もわかんない」

―――衝撃的だった。

そんな簡単に語れる話じゃないよね?

私なんかが聞いてしまってよかったんだろうか。

「…早百合ちゃんなら言っても変わらず接してくれるかなって思ったんだ。急にごめんね?」

そう言って、笑ってくる桂木所長。

なんだろう。
私は、そんな大事な話を聞けて、嬉しいような悲しいような気分だった。



< 30 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop