My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
うちの会社は世界でも有数の製薬会社。
本社とは別なところに研究所があって、研究員は皆優秀なエリートだから、玉の輿に乗りたい女子社員の標的である。
しかし実際は研究員と女子社員の接点はなく、夢のまた夢。
そういえば、最近所長が交代したという話があったなぁ。
相当な変わり者だが優秀だという噂。
名前は確か…桂木、とか。
かつらぎ?
――じゃあ、あの人が新しい所長!?
「打ち合わせ室借りますね。さ、早百合ちゃん。早くおいで」
私を手招きする桂木所長。
課長は私の肩をつかんで打ち合わせ室の前まで押しやる。
「時間は気にしなくていいから、ごゆっくり」
冷や汗をかきながらなんとか笑った課長は、桂木所長に一礼してさっさと行ってしまった。