My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜



「―――さあ、おいで?」

そう言われ、あまり広くない部屋にふたりっきり。
思わず身が強ばる。

当の桂木所長は平然とした顔をしていた。

よく見ると、かなり整った顔だちをしている。
長めの前髪から切れ長の二重瞼がのぞく。
鼻筋の通った鼻に形のいい薄い唇。

ストライプのYシャツを腕まくりしていて細身のパンツを合わせている。


「金曜日はお世話になったねぇ、早百合ちゃん」
桂木所長は続ける。

「もう上に話はしてあるから、行こうか♪」

上?
話?…何言ってるの?

「俺の大事な右手に怪我させてくれたお詫び、してね」

桂木所長は右手を振りながらそう言って私に近づいてくる。

……って!
擦り傷でしょ?
てかなんでそんな横暴なことが許されるわけ!?

「あ、実はすでに早百合ちゃんは研究所長付秘書ってことで辞令出てるから♪」

なんだかよくわからないけど、私の平凡な毎日はどこかへ行ってしまったみたいであった。



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