My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
その後研究所に戻り、私は大きな溜息を吐いた。
研究所に異動してから、心休まるときが極端に減ったような気がする。
「そうだ!早百合ちゃん、のど乾いたよね?今紅茶入れてくるから待ってて〜!」
所長室に戻ったのと同時に、なにかをはぐらかすかのようにそう言ってくる桂木所長。
そそくさと給湯室に向かおうとする彼に、私は思わずこう聞いてしまった。
「なんで桂木所長が長澤さんを札幌に飛ばしたんですか?」
だって、する理由がない。
研究所員と営業部員じゃ接点はないはずだし。
プライベートでも特に仲良くないようだし。
私が答えを待っていると、所長は深く息を吐いた。
「…お茶入れてから話すからさ、待ってて?」
なんだか思い詰めた表情でそう言い残し、桂木所長は飛び出してしまった。