My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
―――それから、どのくらい経っただろうか。
やっと泣き止んだのか、中から女子社員が出てきた。
この子が紫が言っていた新人だろう。
泣きはらした顔を隠すこともなくこちらを見つめてくる。
『あの…?どうして、ここに?』
…なんでかなんて、こっちが聞きたいとこだよ。
『あんた、例の営業部の新人さん?』
だからだろうか。
放っておけなかったのは。
彼女はぽかんとした表情で俺を見つめてくる。
『負けんなよ』
その子の頭に手を置き、それだけ言って去ろうと二、三歩歩いたところだった。
『ありがとうございます!』
振り返ると、泣きはらした目でにっこり笑う姿があった。