My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
研究所に戻っても、家に帰っても、あの笑顔が忘れられない。
こんなことは、初めてだ。
泣いていないか心配だった。
笑っているか気がかりだった。
気になって、たまらなかった。
名札を見て、名前だけは記憶している。
“新城 早百合”
さゆり。
また、会いたいよ。
紫にこの話をしたら、にやにやしてこう言われた。
『惚れたな。おめでとう』
惚れた?
恋をしたのか?
あの新人に?
心の中で否定してみたが、すればするほど深みにはまる感覚がする。
自慢じゃないが、俺は今まで恋愛らしい恋愛はしたことがない。
恋愛なんて、する事もないと思っていたのに。
―――俺の、初恋だった。