My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
―――研究所に入るのは初めてだった。
あまり光の射さない廊下を案内されながら歩く。誰にも会うことなく、通されたのは研究所の一番奥にある部屋だった。
「…どうしてですか?」
扉が閉まり、ソファーに腰掛けるよう促されたが、座る前に聞かなければならない。
向かい側に座る彼を見据えながら、私はそう尋ねた。
「……そんな構えないでよ。早百合ちゃん」
穏やかな雰囲気がいつの間にか消え、鋭い口調になる。
思わず身構えてしまう。
「……ふふっ♪冗談だよ、怖かった?」
次の瞬間、ダンサーのようにくるくる回りながら私に近寄る桂木所長。
そして、こう言ってきた。
「俺、早百合ちゃんのこと好きになったみたい。だから、俺のそばにいてほしくて秘書に指名したんだ」
―――ま、マジですか?