My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
それから週末にかけて、やらなければならない仕事を片づけるので精一杯だった。
慎悟さんが清水晃浩に向かって叫んだセリフは研究所内でも噂になっていて、なぜか手の空いた人も手伝ってくれている。
慎悟さんを中心にした家族のような研究所。
私は、いつの間にかここが好きになっていた。
――そしていよいよ決戦の週末・土曜日。
慎悟さんが(正確には紫さんが)手配していてくれた新幹線に乗り、実家へ向かう。
車内では、疲れていたからか二人とも爆睡だった。
「慎悟さん、もうすぐ降りますよ!」
なんとか目覚めさせ、地下鉄へ乗り換える。
そうこうしているうちに、実家が見えてきた。
ちょっと古めの一戸建てだが、私はなかなか気に入っている。
「あれです、あの青い屋根の…」
と言いかけて、私は歩みまでも止めてしまった。
玄関前に、母が立っている。
「早百合。清水先生から話は聞いたわよ!まったく…」
どうやら慎悟さんが目に入っていなかったようだったが、一応ビシッとスーツを着て登場したんだ彼は目立つ。
きっちりと礼をし、挨拶を交わす彼にノックアウトされたようだった。
―――ところで、清水晃浩との件、なんとかするって言ってくれたけどどうするつもりなの?