My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜
客間に通され、なんだかそわそわする私とは対照的に落ち着き払った慎悟さん。
さすがと言うか。
「―――今日は、ご挨拶しに参りました」
改めて自己紹介と、慌てて発注してもらった名刺を一枚差し出す。
普段名刺なんてあまり使わないから、ずっと切れっぱなしにしていたらしい。
「私は、早百合さんと結婚を前提にお付き合いさせていただいています。今回、清水さんとの件をきっかけに致しまして、ご挨拶に伺いました」
真っ直ぐ、母を見つめたかと思うと、深々と頭を下げた。
母は、ただその様子を見ている。
「桂木さん。あなた、早百合のどのあたりが好き?」
母はそう問いかける。
慎悟さんは、私をちらっと見て、深呼吸をした。
「……私は、親の顔を知りません。生まれてからずっと施設で育ちました」
――母の表情が引きつる。
突然の告白で、面食らったようだ。