光のうみ
「おぅ。
んじゃさ、良い物件きまったら電話してな。
そんで、いつでも良いから顔見せろよ。
心配だからさ。」

「ありがとね。また電話するよ。」
私は、うれしかった。


電話を終え、しばらくすると
タクシーは東京駅に着いた。

金を払い、荷物と男の子を連れ、
タクシーを下りた。

「離しちゃ駄目だかんね。
手、絶対、離しちゃ駄目だよ。」
私がきつめに言うと、
男の子は、ビックリしたが
繋いだ手を強く握りかえして
私を見た。

どうか、この繋いだ手が、
これから、ずっと離れないように。

私は少し、足が震えた。

そして、深呼吸をして、
構内へと歩き出した。
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