星の帰る場所


次の日 私は仕事の帰りに病院に寄る事にした

303号室 田村鈴


入って見ると
静かな病室には 脈に合わせてなる機械音と 機械的な呼吸音が響いた

カーテンを開けると ベッドには 喉からチューブが 身体からはたくさんの線が出ている女性が 横になっていた

女性は ピクとも動かない



私は 横になる女性に軽く挨拶をして
持ってきた花束を 持ってきた花瓶に生けた


30代前半といったとこだろう 少しふくよかで 優しい顔をしている女性だった

ベッド脇の小さな机には 子どもの写真が置かれていた


“ごめんなさい…
貴方をこんな風にしてしまって…”

田村さんの手を握る
…温かい


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