星の帰る場所


星也と田村さんは 病院の屋上でリハビリをしていた


私は 自動販売機の影に隠れてふたりの会話を聞いていた

“星也さんはこれからどうするんですか?”

“田村さん 俺は一生かかって償うつもりです”

“・・・。”

“星也さん ひとつ聞いてもイイですか?”

“はい 何ですか?”

“私の所にお見舞いに来てくれていたのは 星也さんの彼女ですか?”

“俺には彼女はいませんよ… 随分前に俺の勝手で別れたんです”

“星也さんの事話してくれていましたよ。意識はなかったけど、耳はなんとなく聞こえてたから 分かるんです
私はてっきり星也さんの彼女かと…”

“・・・。”

“星也さん
もう私達の為に 自分を犠牲にしないで下さい”

“ですが…”

“じゃあ…貴方は私と結婚でもしてくれますか?”


“・・・。良いですよ。田村さんが望むのであれば…
俺は決めたんです。田村さん達の為に働いて 一生かかって償うと”

星也から出た言葉の数々は 私の胸を締め付けた
分かっていたハズなのに…
苦しかった…
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