ケイカ -桂花-
みんなそうすれば良いのに
「ハナちゃん、悪いけど、今日外でご飯食べて来てくれる?」

朝食の目玉焼きをお皿によそいながら、お母さんが言った。

「やったー、ミカ達とファミレス行くね。あと秋物の服も欲しいし、映画も見たいのあるんだよねー」

心臓のドキドキを隠すように、出来る限り明るい声で無邪気を装う。

ちょっと一気にしゃべりすぎたかも?

「そう?じゃあ、お小遣いはずんじゃおうかしら?お父さんには内緒よ」

少女の様な笑顔のお母さんが、財布から数枚のお札を抜いてテーブルの上に置いた。

「お父さん」の言葉に更に大きくなったドキドキを、絶対に悟られてはいけない。
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