ケイカ -桂花-
日曜日、鏡に全身を映し最終確認をして階段を降りると、オヤジに出くわした。

「どっか行くのか?」

もう、気持ち良く出掛けさせてくれよ。

「うん・・」

オヤジと話したの久しぶりだけど、やっぱウザイな。

まだ何か言いたそうな顔と視線を送ってきてる。

急いで靴を履き、玄関のドアに手を掛けた。

「ケイの・・」

その言葉が即座に私を振り向かせた。

「バカッ、何言ってんだよっ」

家でそんな話、聞かれたらどうするんだよっ。

「お母さんなら、買い物行ってる」

あ、そう。

いくらオヤジでも、それくらいの分別はあるか。
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